発酵動態解明に向けたスマートピルの開発
背景
第一胃(ルーメン)内でプロピオン酸がたくさん作られるようにして、メタン生成を減少させるというのが本プロジェクトの戦略ですが、そのためにはルーメン内のプロピオン酸の生成量を測るセンサが必要となります。ルーメンに留置して短鎖脂肪酸(VFA)中のプロピオン酸の量(割合)を測定し、無線通信によってそれをリアルタイムモニタリングできる装置=“スマートピル”が実現されれば、ルーメン内発酵動態の解明と、メタン生成の大幅削減に寄与すると期待できます。
研究内容 (どうやってプロピオン酸の生成量を測るの?)
(1)VFAセンサモジュールの開発と高性
三層構造の浸透気化膜によるVFA選択分離フィルターと気相中のVFA量を検出するセンサ(いずれも特許出願技術)を開発し、VFA総量センサの基盤技術の開発に成功しました。さらに、センサ部材、センシング方式、測定条件やデジタル変換回路の最適化により、VFA組成測定用センサ(モジュール)の開発を目指します。
(2)スマートピルの開発とVFAモニタリングシステムの構築
ルーメン内に留置して、ルーメンVFA測定データを無線で連続送信する“スマートピル”と、VFAデータを確実に受信してクラウドに格納する“VFAモニタリングシステム”を開発します。スマートピルをルーメン内で長期間安定動作させるための要素デバイスの長寿命化技術や電源供給・制御技術、ルーメン内のスマートピルと基地局との間を確実に無線通信する超低消費電力無線通信技術の開発に取り組みます。
サブ課題の紹介
サブ課題1 |ルーメンマイクロバイオームと代謝性水素の動態の徹底解明
サブ課題2|発酵動態解明に向けたスマートピルの開発
サブ課題3|メタン産生抑制飼料を活用した最適飼養管理技術の開発「サブ課題の紹介」へ