メタン削減プロジェクト
サブ課題1

ルーメンマイクロバイオームと代謝性水素の動態の徹底解明

背景

草食動物であるウシは、4つある胃の第一胃(ルーメン)内に住む微生物(ルーメンマイクロバイオーム)の働きにより植物性のエサを短鎖脂肪酸(VFA)やタンパク質に変換(ルーメン発酵)して栄養源としています。ルーメン内のメタン細菌は、ルーメン発酵の過程で発生した代謝性水素を利用してメタンを産生します。一方、代謝性水素は、プロピオン酸産生においても消費されるため、ルーメン内でプロピオン酸をたくさん作れば、メタン細菌が利用できる代謝性水素が減少してメタンが減少すると期待できます。


研究内容(どうやってプロピオン酸を増やすの?)
(1)新規メタン抑制微生物の特定とルーメンマイクロバイオームの解明

乳牛のルーメンから、プロピオン酸産生の増強効果が期待できる新しいルーメン微生物を特定・単離することに成功しました。さらに、プロピオン酸産生の増強に関与する微生物の特定・単離や微生物間のネットワークの解明を進め、新規培養・保存技術を確立することで、長期的にメタンを抑制するプロピオン酸産生微生物資材の開発を目指します。

(2)ルーメン内代謝性水素の動態解明とルーメンマイクロバイオームの数理モデルの構築

乳牛は分娩後に泌乳を開始し、280~300日の泌乳期の後、乳生産を2~3か月休んで次の分娩をするというサイクルを繰り返します。この間のエサの量と種類の変化にあわせてルーメンマイクロバイオームの構成も大きく変化しますが、その時の代謝性水素の動態はわかっていません。そのため、数理解析により代謝性水素の動態の見える化を行うことで、食べたエサに対するメタン産生量を推定するモデルを構築し、メタン産生を抑えた最適な飼養管理技術への貢献を目指します。

 


サブ課題の紹介
 サブ課題1 |ルーメンマイクロバイオームと代謝性水素の動態の徹底解明
 サブ課題2|発酵動態解明に向けたスマートピルの開発
 サブ課題3|メタン産生抑制飼料を活用した最適飼養管理技術の開発「サブ課題の紹介」へ


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