ニュース

家畜栄養生理学実験 2007
2007年12月1日

 ’07年度後期の畜産科学科3年生必修の家畜栄養学実験の様子です。
慣れない実験に戸惑いながらも、がんばる初々しい3年生の模様をお伝えします。

第1回 ルーメン液の粘度測定と微生物観察

本実験では、粗飼料多給ルーメン液と濃厚飼料多給のルーメン液をサンプルに供します。
初回では、それぞれのルーメン液の粘度と、微生物様相の違いを勉強しました。

粗飼料(左)と濃厚飼料(右)。まず最初に匂いや形の違いを比べました。誰かが濃厚飼料のペレットを食べてました。ヒツジがこれらを食べるとルーメン内では・・・?
これがルーメン液で、濃厚飼料由来(左)と粗飼料由来(右)。明らかに見た目が違いますね。匂いも、濃厚飼料由来のものの方がキツイものでした。小池先生いわく、「粗飼料は許せるが、濃厚飼料は許せない」
実験中の1コマ、5班。個性派ぞろい。グラム染色のときに連鎖球菌にやたらと食いつく。TAの松井、やられ気味になる。
さてさて、こちらはルーメン液の粘度測定のシーン。特殊な実験器具で測定します。TA鈴木が指導です。
顕微鏡による微生物観察のシーン。 目で見えるようになると、興味も湧いてきますね。 はじめは核を染めたプロトゾアを観察しました。飼料の違いはどこにあらわれるでしょうか??
ルーメン細菌はグラム染色後、PCに取り込みました。(PCがかぶって見えない・・・。)細菌にも違いが見られましたね。
粗飼料由来ルーメン液中のプロトゾア。大きいものもいれば小さいものもいて、多様性があります。うまく撮れています。
こちらは濃厚飼料のもの。同じサイズのものが沢山います。粗飼料ほど、多様性はないですね。
ルーメン微生物の動画鑑賞。小池先生のPCより。 プロトゾアがわっさわっさ、細菌も見られました。

 

 

いよいよ始まりました家畜栄養学実験。
第1回は、実際にルーメン微生物を肌で感じる(?)ために、顕微鏡で観察しました。
第2回もがんばりましょう。

第2回 ルーメン液の糖質分解酵素活性の測定

本実験では、粗飼料多給ルーメン液と濃厚飼料多給のルーメン液をサンプルに供します。
今回は、それぞれのルーメン液のセルラーゼ活性とアミラーゼ活性を測りました。

今回では、ピペッティングが命です。正確な量を測り取らないと、あとあと困るので、どの班も真剣です。
慎重に慎重に・・・。
二人だけの5班は少々きつそうでしたが、抜群のコンビプレイでがんばってました。
セルロースとデンプンの構造の違いを解説。β-グルコースが繋がってセルロースに、α-グルコースが繋がってデンプンになります。
38度の恒温漕で1時間インキュベート開始するところ。わらわらとS352室に集まってきます。
反応がすんだらDNSを加え、100度に加熱して発色させます。もう見た目で色の違いがはっきりと出ていますね。
色の違いを数値化する、その名もプレートリーダー。 一定の波長の光を通して、その吸光度を測定します。当研究室では様々な実験で大活躍です。
エクセルでデータ処理。検量線書いて、さっきの吸光度コピペして、計算式入れて・・・。もうパソコン苦手なんて言ってられませんね。
真剣ですね。 奥は、パソコンを見ながら結果を考察しているシーン

 

 

今回の実験では、うまくいった班とそうでない班があったと思います。
最初のピペッティングがうまくいってないと、良い結果も出なかったと思われます。
予想したとおりの結果がでた班は、なぜそうなったのか、よ~く考えてみてください。
ではでは。

第3回 アンモニア態窒素濃度の測定

本実験では、粗飼料多給ルーメン液と濃厚飼料多給のルーメン液をサンプルに供します。
今回は、それぞれのルーメン液のアンモニア態窒素濃度をインドフェノール青法で測りました。

今日は5人揃った5班。また賑やかになった。これで実験もスムーズに進むはず・・・。
(3班)今回も前回と同様、検量線を引くのでピペッティングが大事になります。TAがしっかりレクチャーしてます。
4班
2班
1班
今回使う試薬フェノールは毒性があります。なのでドラフト内で扱います。
おーい!
おーーーーーーーーい!!!
アンモニアを発色させる間の30分間で、ルーメン液からのDNA抽出をおこないました。手に持っているのはおそらく遠心分離したルーメン液。
遠心したルーメン液の上清を取り除いている様子。底に溜まったペレットには、たくさんの細菌がいます。これを使います。
実験に失敗し、最初に戻る5班。粗飼料と濃厚飼料で値がおかしくなったみたい。あららー。
菌体ペレットをPrepMan Ultraに懸濁し、ボルテックスしてるところ。ピペット使ったほうが早いと思ったのですが、↑3班はずっとボルテックスしてました。
休憩タイムのひととき。

 

 

さて粗飼料と濃厚飼料では、どちらでアンモニア態窒素濃度が高くなったでしょうか?
またまた考察が必要になってきましてね。 
これからもまだまだ続きます。
ではでは。

第4回 VFA濃度の測定、ルーメン細菌検出PCR

本実験では、粗飼料多給ルーメン液と濃厚飼料多給のルーメン液をサンプルに供します。
今回は、それぞれのルーメン液のVAF濃度測定とルーメン細菌の検出PCRを行いました。

ガスクロの順番を決めています。 終わった人から帰れるのでみんな必死?!小池先生も苦笑い・・
(3班)見事1位通過!まずM2鈴木さんからガスクロの原理などについて説明を受けます。
(4班)
(1班)
(3班)こちらはPCR用Master mixを混合中。精密なピペッティングが要求されます。
Master mixをPCRチューブに分注してるところ。ピペッティング姿もなかなかサマになっています。
(5班)今日は3人!なかなか全員集合は叶いませんが頑張りましょう。
それでもポリメラーゼは繊細な試薬なので慎重に扱います。
Master2人がかりで豪華解析中。いいデータは取れましたか?
来週の培地選手権で供される予定の一風変わった栄養源?たち 班の個性が色濃く出てると思いますよ。笑

 

 

さてさて粗飼料と濃厚飼料でVFA濃度はどのように変化したでしょうか?
また新しい側面からルーメンを覗けますね。
来週からはいよいよDNAレベルでルーメンにアプローチしていきます!
それでは。

第5回 検出PCR(電気泳動)、制限酵素消化によるルーメン細菌叢解析(前編)

本実験では、粗飼料多給ルーメン液と濃厚飼料多給のルーメン液をサンプルに供します。
第5回では、前回のPCRによって増幅した16S rDNAの検出と、飼料の違いによるルーメン細菌叢の変化をみるためにRFLPを行いました。

まずはゲルの下準備から。アガロースを秤量しています。
アガロースを溶かしてエチブロを添加したら準備完了
(1班)
(4班)
(3班)
(ゴハン)
(2班)
BPB溶液とPCR産物を混合中。TA奥平さんの目が光ります。5回目となると皆さんピペットの扱いも慣れたものです。
その後、慎重にウェルにサンプルをロードしていきます。
泳動の待ち時間に「培地選手権」の準備を行いました。上の写真は2班が用意してくれた炭素源たち。
培地の分注。炭酸ガスを噴射しながら行うことでルーメン内と同じ嫌気状態を保ちます。
分注後。このあと滅菌して培地完成となります。
ユニークな炭素源を用意してくれた5班。ハンゲートチューブにつまみを入れたのは世界で彼らが初めてでしょう。
そーこーしてる間に電気泳動終了!!
(4班)1.5kbに鮮明にバンドが検出されました。おめでとう!
バンドをどこかに忘れてきてしまった人々 時には期待する結果が出ないときもあります。
RFLPの準備中。今日はSau3AⅠによる制限酵素消化を行って、来週電気泳動による細菌叢解析を行います。
カメラ目線①
カメラ目線②
お疲れ様です!!!

さぁいよいよ家畜栄養学研究室担当分は来週で最後です!
細菌叢の変化はクリアに観察できるのでしょうか?
カメムシ培地でルーメン細菌は増殖できるのでしょうか?
発表会にむけて最後のデータを良きものにしましょう!

第6回 制限酵素消化によるルーメン細菌叢解析(RFLP後編)

本実験では、粗飼料多給ルーメン液と濃厚飼料多給のルーメン液をサンプルに供します。
第6回では、前回酵素消化したサンプルを電気泳動し、飼料の違いによるルーメン細菌叢の変化を視覚的に検証しました。

まずはゲルの作成から。アガロースを秤量しています。

1班
2班
3班
(4班)BPB溶液とサンプルを混合しています。
(5班)TA鈴木さんも優しく見守ります。

泳動の待ち時間に先週行われた「培地選手権」で作成した培地を観察しました。
それぞれが選んできた栄養源でルーメン細菌は増殖できたのでしょうか?

以下はルーメン細菌による発酵が起きたのか身をもって(培地の匂いをかいで)感じているところです。横にお楽しみください(笑)

ハンゲートチューブのフタを空けると・・・・

シリンジで・・・・

お二人ともいいリアクションありがとうございます。
ルーメン発酵の威力を十分に感じてもらえたことでしょう!!
電気泳動後、バンドパターンの違い(細菌叢の変化)が観察され実験は終了しました。

さて私達がTAを担当する家畜栄養学実験の前半も最後のプレゼンを残すのみです!
これまでの実験データを皆さんはどのようにまとめたのでしょうか。
その様子は近日中にお送りしたいと思います!
ではでは