ニュース

家畜栄養生理学実験 2009
2009年12月1日

昨年度までは「家畜栄養学実験」として後期に7回行っていた授業ですが
今年度からは名前を「家畜栄養生理学実験」と改め、前期に15回の実験を行います。
慣れない実験に戸惑いながらも、がんばる初々しい3年生の模様をお伝えします。

第1回 ルーメン液のサンプリング、pH測定およびプロトゾア観察

本年度の栄養生理学実験、前半では粗飼料多給条件および濃厚飼料多給条件のヒツジのルーメン内発酵が時間経過とともにどのように変化するかを調べます。
初回は、給餌前と給餌後1~4hにルーメン液をサンプリングし、pHを測定し、プロトゾアを観察しました。

初回は班ごとに時間をずらして農場に集合し、ヒツジからルーメン液をサンプリングします。こちらは小池先生から実験の説明を聞く1班のみなさん。
まずはヒツジに給与した飼料の感触、色、匂いをよくよく覚えてもらいます。この乾草がルーメン内で分解・発酵を受けるとどのように変化するのでしょうか?
こちらは今回実験に協力してくれたライリーくんです。ライリーくんはこの実験のおかげで沢山の濃厚飼料を食べることができました。
真ん中の男子学生が手にしているのがサンプリングしたルーメン液です。粗飼料多給個体と濃厚飼料多給個体で色や匂いが違ったようです。ここではその化学的性状としてのpHを測定し、比較しました。
ヒツジなどの反芻動物はルーメン内の微生物が飼料を分解・発酵することにより、飼料からエネルギーを得ることができます。ここではルーメン内微生物の一つであるプロトゾアを顕微鏡で観察します。こちらは3班のみなさん。
新鮮なルーメン液では活発に動き回るプロトゾアを観察することができます。こちらは1班男子。
中には植物片やデンプン顆粒を取り込んだプロトゾアもいます。見つけられたでしょうか?こちらは1班女子。
プロトゾアの形や大きさも、粗飼料多給個体と濃厚飼料多給個体で違うと言われています。その違いがわかるでしょうか。こちらは4班のみなさん。
5班男子。両個体サンプルの違いに気づいたようです。
5班女子。プロトゾアを見つけたと同時に「かわいー!」との歓声があがりました。
2班のみなさん。
席を交代して両個体サンプルを見比べます。みんな真剣!
今回は後日の実験でプロトゾアを計数するために、プロトゾアの固定も行いました。ホルマリンで細胞を固定し、メチルグリーンで核を染色します。
TA(左)の説明を受けてピペッティングに挑戦です。
ピペッティングは今後の実験でも重要です。うまくできたかな?
最後に、ルーメン内微生物のもつ炭水化物を分解する力を視覚的に確認するために培地を使った実験を行いました。
培地中には炭素源としてろ紙(セルロース)とお米(デンプン)が入っています。こちらはお米の培地。
チューブの中を嫌気的に保つためにルーメン液の接種はシリンジで行います。3年生もTAの指導のもと実際にやってみます。
ここにルーメン液を接種すれば微生物の力によってそれぞれの基質が分解されるはずです。慣れないながら楽しそうな2人。針に気をつけてね。
ルーメン液接種後、すぐに39℃で培養を始めます。ろ紙やお米はどうなるでしょうか?一週間後が楽しみです。

初回の栄養生理学実験は以上です。粗飼料多給個体と濃厚飼料多給個体のルーメン液性状の違いを肌で(鼻で?)感じてもらえたでしょうか?
次回からはサンプリングしたルーメン液を分析し、両個体のルーメン内が栄養学的にどのように違うのか検証します。

番外編
こちらはつなぎ姿が珍しい小池先生と、渡部さん(M2)とのツーショットです。バッチリ決まってますね!
渡部さん(M2)と嵩さん(M1)の仲良しコンビ。ヒツジのアップリケがお似合いです。
空き時間にプロトゾアを観察する小池先生(右)、M2内堀さん(中)、M1林くん(左)。
みなさん真剣そのもの・・・っていうか釘付けです(笑)。

先生もTAも久々に新鮮なプロトゾアを観察でき、3年生と同様に楽しめる実験でした。
次回もお楽しみに!
(担当:ふくま)

第2回 アンモニア態窒素濃度の測定

本年度の栄養生理学実験、前半では粗飼料多給条件および濃厚飼料多給条件のヒツジのルーメン内発酵が時間経過とともにどのように変化するかを調べます。
今回はルーメン液中のアンモニア態窒素濃度を測定することで、微生物タンパク質の合成に十分な量のアンモニアが存在することを確認します。そして、その経時変化を調べることでルーメン内でのタンパク質利用(タンパク質が分解された後、どのように利用されるか?)について考えます。

さぁ、実験開始です。
まずは検量線の作成です。
今回の実験は正確なピペット操作が命です!
各班で協力して分注していきます。
どの班もチームワーク抜群です。
ルーメン液は遠心分離して上清を分析に用います。
なので、沈殿物を吸わないように注意が必要です。
みなさん、真剣な眼差しです。
発色反応を見るためにフェノール試薬(劇・毒物)を用いるので、ここからの作業はドラフト内で行います。
分注し終わったら、反応して発色するのを待ちます。
しばし、休憩。
待ち時間を利用して、前回時にルーメン液の入った培地の中に入れたろ紙・米飯の様子を見てもらいました。
米飯は既に原型を留めていないものもあります。
培地が濁っている様子もわかりますね。
ろ紙もボロボロになっています。
ルーメン微生物の繊維分解能力にみなさん驚いています。
次はシリンジを使ってチューブ内で発生したガスを採取します。
なんと、シリンジを刺しただけでガスが出てきます。
かなりの量のガスが発生していたのですね。
発生したガスの臭いを嗅いでみます。
恐る恐る鼻を近づけると・・・
やっぱり臭いです。
けれど、何事も体で感じることが大事ですね。
反応が終わったので、プレートリーダーに分注していきます。
この後、吸光度を測定しました。
測定した吸光度からアンモニア態窒素濃度を算出します。
エクセルを使いこなすのは大変ですね。
ところで、各班に作成してもらった検量線。
もっとも精度の高い検量線を作成したのは2班でした。
1に近いほど良いのですが、なんとこの数字!
素晴らしいです。
2班には景品(お菓子)が贈呈されました。
おめでとうございます!!
最後にすべてのデータを見てみます。
先生の解説に聞き入ってます。
さぁ、この結果からどのようなことが考察できるでしょうか?

 

第2回の栄養生理学実験は以上です。粗飼料多給個体と濃厚飼料多給個体のルーメン内でのタンパク質分解の様子を捉えることはできたでしょうか。また、ルーメン微生物の分解能力を目+鼻(笑)で感じることができましたね。
次回からはサンプリングしたルーメン液のアミラーゼ&セルラーゼの酵素活性を測定し、両個体でどのように違うのか検証します。
次回もお楽しみに!
(担当:林)

第3回 糖質分解酵素の活性測定

本年度の栄養生理学実験、前半では粗飼料多給条件および濃厚飼料多給条件のヒツジのルーメン内発酵が時間経過とともにどのように変化するかを調べます。
今回はルーメン液のセルラーゼおよびアミラーゼ活性を測定することで、ルーメン内で粗飼料および濃厚飼料が分解されることを実証します。

今回測定するセルラーゼとアミラーゼは、粗飼料の主成分であるセルロースと濃厚飼料の主成分であるデンプンにそれぞれ作用します。
前回の実験の合間にルーメン液を摂取した培地ではお米(デンプン)もろ紙(セルロース)もボロボロになったことを確認していました。これらの基質の分解酵素を数値化するとどれくらいになるのでしょう??
実験開始です。試験管に各基質およびルーメン液を分注していきます。
今回もピペッティングが重要です。
混合後は半分は氷上に置き、もう半分は37℃で一時間インキュベートすることで反応を進めます。
作業量も多いので班員の協力も重要です。
反応終了後、吸光度を測定するためにマイクロプレートにサンプルを分注していきます。間違えないように慎重です。
吸光度を測定後Excelでデータ処理をします。
うまく検量線は引けたでしょうか?
給餌後の酵素活性は粗飼料多給時および濃厚飼料多給時でそれぞれどのように変化していったでしょうか?
ルーメン内で何が起こっているのか考察を深めていきましょう。

 

 

今回の栄養生理学実験は以上です。
次回はプロトゾアの計数とVFA濃度の測定を行います。
次回もお楽しみに!
(担当:内堀)

第4回 プロトゾア計数と短鎖脂肪酸(SCFA)濃度の測定

本年度の栄養生理学実験、前半では粗飼料多給条件および濃厚飼料多給条件のヒツジのルーメン内発酵が時間経過とともにどのように変化するかを調べます。
今回はルーメン内のSCFA濃度を測定することで、給与飼料の違いがSCFAの産生量、特に酢酸・プロピオン酸・酪酸の割合に及ぼす影響を明らかにします。
また、あわせてプロトゾアを計数することで、給与飼料が微生物数に及ぼす影響について考察します。

まずはプロトゾア計数です。
プロトゾアは、サンプリング時に固定したものを計数します。
計数する前に、核が染まっているプロトゾアを電子顕微鏡で確認します。
プロトゾアがたくさんいますね。中には飼料片が染まっている場合もあります。気をつけて計数しましょう。
カウンターを片手に、みんな真剣に計数しています。1視野にプロトゾアが100近くいたという人もいました。
順調にプロトゾアを数えているようです。
あまりに真剣だったので、目が疲れてしまった様子。少し目を休めて・・・さぁ頑張りましょう!
こちらは1班のみなさん。
さすがTA!余裕のVサインです。
次はSCFA濃度の測定です。
まずはSCFA用のサンプルを準備します。ピペットの使い方も手慣れてきました。
測定にはガスクロマトグラフィー(=ガスクロ)を使います。
ガスクロの中はこんな構造になっているんですね。
それではSCFAをガスクロに注入していきましょう。まずは、サンプルをシリンジにとって・・・
初めて使うシリンジに奮闘しています。
サンプルがとれたら、シリンジをガスクロに刺して・・・
最後まで押し出します!
待つこと10分・・・
ガスクロ分析が終わりました!このチャートを元にして、各SCFA濃度を計算していきます。
出てきたチャートをExcelに打ち込み、計算します。班員はもちろん、先生も見守っています。
粗飼料多給と濃厚飼料多給による差が見られたようです。
3班のみなさん、遅くまでお疲れさまでした!

今回の栄養生理学実験は以上です。
次回はルーメン細菌からのDNA抽出、PCRおよび電気泳動を行います。
次回もお楽しみに!
(担当:すう)

第5回 ルーメン細菌からのDNA抽出および16S rDNAのPCR増幅

本年度の栄養生理学実験、前半では粗飼料多給条件および濃厚飼料多給条件のヒツジのルーメン内発酵が時間経過とともにどのように変化するかを調べます。
今回と次回の2回にわたって、給与飼料の違いによるルーメン発酵パターンの変化を、DNAレベルで細菌叢の違いから検証します。

まず、今回の実験で用いるPDR(=Polymerase Chain Reaction)の原理について復習です。
保存領域に対合するプライマーでPCRすることで、サンプル中のすべての細菌の16S rDNAを増幅します。
全体の説明後、班ごとに実験を進めていきます。
PCRは鋭敏な反応なので、ピペット操作がとても重要です。
試薬の使用量がとても微量なので、みんな真剣です。
そして、混合する試薬が多いので、班員の協力も大切です。
ちゃんと混合できたかな?
最後に、試薬とサンプルをPCRチューブに分注します。
PCRチューブは普段使っているマイクロチューブよりも小さいので、慎重に行っている様子。
サンプル量はなんと1μl!びっくりですね!分注後、サーマルサイクラーにセットして、PCRにより増幅します。

 

 

今回の栄養生理学実験は以上です。
次回は制限酵素消化によるルーメン細菌叢解析を行います。
次回もお楽しみに!
(担当:すう)

第6回 制限酵素消化によるルーメン細菌叢解析

本年度の栄養生理学実験、前半では粗飼料多給条件および濃厚飼料多給条件のヒツジのルーメン内発酵が時間経過とともにどのように変化するかを調べます。
これまでの実験で給与飼料の違いによりルーメン内の発酵パターンが変化することを確認してきました。これらはルーメン内に生息する微生物の構成が変化したことに起因するものであり、今回はDNAレベルで細菌叢の違いを確認しルーメン内での細菌叢変化に関する理解を深めるのが目的です。

前回PCRで増幅したルーメン細菌由来の16S rDNAを制限酵素Sau 3A I で切断しバンドパターンの変化をみます。今回も扱う試薬の量が少量なので慎重なピペッティングが必要です。
酵素消化の待ち時間には泳動用のゲルを作製しました。
メニスカス!!
待ち時間には次回のプレゼンテーションの打ち合わせ&準備をしました。
酵素消化終了後はいよいよ泳動です。BPBとよく混合して…
ウェルに慎重にApplyしていきます。結果やいかに!
泳動終了後にはいよいよバンドパターンの確認です。写真のような泳動像が得られましたがバンドの本数やパターンなど両者で差はあったでしょうか?

 

今回の栄養生理学実験は以上です。
次回はいよいよ前半のまとめのプレゼンテーションです!これまでに得られた結果をまとめてしっかり考察を深めておいてください!
次回もお楽しみに!
(担当:内堀)

第7回 発表会(前半)

本年度の栄養生理学実験、前半では粗飼料多給条件および濃厚飼料多給条件のヒツジのルーメン内発酵が時間経過とともにどのように変化するかを調べます。
これまでの実験で給与飼料の違いによりルーメン内の発酵パターンが変化することを確認してきました。
また、なぜ変化が起きているのか、ルーメン内の微生物に注目して数・多様性・酵素活性を明らかにしてきました。
今回は前半のまとめとして、これまで行ってきた実験の結果・考察を、班ごとに発表してもらいました。

発表前の様子です。
最終チェックに余念がありません。
トップバッターは5班です。
各項目について丁寧に説明していました。しっかりと考察できていたと思います。
RFLPの結果を示したスライドです。
飼料によって、ルーメン細菌の多様性に差が出ています。
2番手は2班です。
非常にユニークなタイトルでした。
たしかにルーメンの中の複雑さは、「宇宙」と呼んでも過言ではないかもしれません。
続いて3班。
シンプルながら分かりやすい発表でした。考察もオリジナリティがあってよかったと思います。
アニメーションを駆使してルーメン内の物質の動態をわかりやすく示していました。
続いて4班です。
こちらもユニークな表紙でしたが、今回は割愛させていただきました。
アンモニア態窒素濃度を説明したスライドです。
飼料中の炭水化物の分解性に注目し、アンモニア態窒素濃度との関連を考察していました。
トリは1班です。
発表のストーリー作りが上手で、非常に聞きやすい発表だったと思います。
アミラーゼ活性について、ルーメン内のプロトゾアと細菌の関係から考察したスライドです。
自作の絵を用いて分かりやすく説明していました。
質問にも的確に答えられていたと思います。
発表の後の質疑応答も盛んに行われ、良かったと思います。
鋭い質問は怖いかもしれませんが、自分の発表に興味を持ってもらえるのは嬉しいですね。
今回の発表会ではTAが審査員となり、それぞれの班の発表を評価し、採点しました。
優勝した1班には素敵な賞品が送られました。
最後に小池先生から総評を頂きました。
発表も終わって、リラックスムードです。
班の結束も強まったでしょうか?
お疲れ様でした。

 

 

今回で栄養生理学実験の前半は終了です。
残り半分、この調子で頑張ってください!
次回からは後半の様子をお伝えします。
お楽しみに!
(担当:林)

8回 ラットの群分け&サンプリング

お待たせしました!栄養生理学実験、後半の始まりです。
後半では単胃動物の代表としてラットを用いて2つの群に分け、通常の飼料と、食物繊維含量が極端に低い飼料を与えてその違いを探ります。
初回はまずラットの体重測定と群分け、そして2週間の飼育を通してサンプリングに至るまでの様子をご紹介します。

今回の実験に協力してくれるラットくんです。5週齢です。
まずは彼らの体重を測定します。
体重測定後、平均体重がだいたい等しくなるように6頭ずつ2つの群に分けます。
続いて初日の飼料を量りとります。このくらいのラットだとだいたい40 gほど食べるのでそのぐらいを量ります。

ごはんにありつけたラットくん。すぐに食べにかかっていました。
なかなか愛らしい姿です。こうして2週間飼育します。
ここからはその2週間の様子です。
まずは残食量を量りとり・・・
1日でどのくらい食べたかを記録します。
続いて食べた分と同じくらいの飼料を追加します。
連携プレーの見せ所ですね。こうして1日ごとに当番になっている班に来てもらい
2週間の採食量を記録しました。
さて、2週間経過してすくすく育ったラットくんがこちらです。
この日は彼らから血液と盲腸内容物を頂きます。
まずはTAがお手本を見せてコツなどを伝授します。
みなさん慣れない手つきながらも奮闘して上手にサンプリングを終えることができました!

3年生、2週間のラットの飼育お疲れ様でした。次回からは今回サンプリングした血液と盲腸内容物の分析を行います。
それでは次回もお楽しみに!
(担当:ふくま)

第9回 血清成分の測定

後半第3回目は、血清中のグルコースおよびコレステロール濃度の測定を行いました。

まずは小林先生から実験概要の説明がありました。 さて、コントロール区と低ファイバー区ではどんな差が出るのでしょうか?
今回もアンモニア測定と同様に、プレートリーダーを用いた吸光度測定を行います。TAの指示に従って、まずは検量線の作成。
検量線作成はピペッティングが命!3班、慎重に作業をこなします。
プレートに分注する作業も2度目ということもあり、手馴れてきましたね!
分注作業が終わったら早速吸高度の測定です。結果が出るまでドキドキですね。
TAの嵩さんも数値が気になっている様子です。
出た値をPCで計算します。
結果が出揃いました!さて、両区間の違いは・・・?

3年生、お疲れ様でした。次回からは発酵産物の測定に入ります。
それでは次回もお楽しみに!
(担当:渡部)

10回 盲腸内容物中のpHおよびアンモニア態窒素濃度の測定

後半第4回目は、盲腸内容物中のpHおよびアンモニア態窒素濃度の測定を行いました。

まずは小林先生から実験概要の説明がありました。 コントロール区と低ファイバー区ではどんな差が出るのでしょうか?
盲腸内容物を秤取します。 なんとなくCTR区と低ファイバー区で臭いが異なるような気も・・・?
今回は液量がごくわずかであるため、pH測定といってもルーメン内容物の時のようなpHメーターは使えません。 そこでこちらの小型のpHメーターを使用します。 その名も「pHボーイ!」
このように先端部分の電極に液体を分注するとpHが測定できるのです。 さて、結果はいかに?
続いてアンモニア態窒素濃度の測定です。 前半のルーメン内容物でも同様の実験を行ったので2度目ということもあり、手際よく作業が進んでいます。
最初はやりづらかったドラフト内での分注作業も、慣れたものでしょうか?
結果を単位重量あたりに換算します。 どうやって計算すればいいのか、各々必死に思考をめぐらせます。
全班のデータが出揃いました。 さぁ、思い描いていたような結果は得られたでしょうか?

次回は、同じく盲腸内容物を用いてSCFA濃度を測定します。
加えて嫌気性細菌の計数に用いるロールチューブを作成します。
次回もお楽しみに!
(担当:林)

11回 ラット盲腸内短鎖脂肪酸(SCFA)濃度の測定と嫌気性ロールチューブ法による腸内細菌の培養計数

後半第5回目は、短鎖脂肪酸(SCFA)濃度の測定を行い、産生した発酵産物の違いを検証しました。
また、盲腸内細菌の培養計数を行うため、嫌気性ロールチューブを作成しました。

まずは、ガスクロを用いてSCFA濃度の測定を行います。
サンプルをシリンジにとって・・・
ガスクロに注入! どんな結果になるでしょうか。
次に、嫌気性ロールチューブを作成します。 こちらが今回使用する3種類の培地です。
ハンゲートチューブ内を嫌気性にするためには、酸素を完全に除去しなければなりません。今回はガス噴射法を用いました。
この装置を用いてCO2ガスを噴射しながら、培地を分注します。
そして、こちらは嫌気チャンバーです。チャンバー内は、N2・CO2・H2ガスが充填されており、嫌気的な環境になっています。
そのため、チャンバー内であれば、酸素を気にせず作業を行うことができる素晴らしい装置です!小林先生の説明を真剣に話を聞いている様子です。
それでは、実際に嫌気性ロールチューブを作成していきましょう。まず、TAから説明です。
サンプルの希釈液をシリンジにとります。
初めての作業にドキドキです!
次に、シリンジ内の空気を追い出します。
嫌気性にしなければならないので、酸素は大敵です!
そして、サンプルを培地に植えていきます。
うまくできたかな?
ここで、今回の主役が登場します! ロールチューブ作成器です!
培地をこの上に置いて・・・
30秒ほど転がすと・・・
このように、氷水と接触している部分が固まり、ロールチューブが完成です!
作成器に置くときが、重要です。 真剣な表情の3年生をお送りします。

完成したロールチューブです。 うまく作成できたでしょうか。

 

次回は、作成したロールチューブのコロニーの計数とReal-time PCRによるラット盲腸内総細菌と乳酸菌の定量を行います。
次回もお楽しみに!
(担当:すう)

12回 ロールチューブ法およびReal-time PCR法による腸内細菌の定量

本年度の栄養生理学実験、後半後半では単胃動物の代表としてラットを用いて2つの群に分け、通常の飼料と、食物繊維含量が極端に低い飼料を与えてその違いを探ります。
これまでの実験で給与飼料の違いにより血中成分や腸内の発酵パターンが変化することを確認してきました。これらは給与飼料の違いにより腸内に生息する微生物の構成が変化したことに起因するものだと考えられます。今回は2つの方法で腸内に生息する細菌の量を定量し、腸内の細菌叢変化に関する理解を深めるのが目的です。

ロールチューブ法による総細菌、Clostridium 属細菌およびColiforms の定量

前回の実験では培地を作製し10倍希釈系列の盲腸内容物をそれぞれの培地に接種しておきました。それを37℃で2日ほど培養すると

このようにチューブの内壁に沿って細菌がコロニーを形成します。ひとつのコロニーはもともと1 cellの細菌なのでコロニーを全て数えることでもともとの細菌の数が分かります。
蛍光灯の光をあてて一つずつ正確に数えていきます。
小さなコロニーをペンで一つ一つチェックしていくのは根気のいる作業です。

各細菌数を数え終わったところで班毎にデータをまとめます。
班毎にまとめたら全班のデータをまとめます。

 

 

食物繊維の給与を減らしたラットの盲腸内でのClostridium 属細菌およびColiformsはそれぞれどのような変化をみせたでしょうか?

Real-time PCR法による総細菌およびLactobacillus 属細菌の定量

ロールチューブでの細菌計数と平行して培養を介さず細菌を定量できるReal-time PCR定量を行いました。

分子生物実験では微量のコンタミも防止するために作業はクリーンベンチ内で行います。
初のクリーンベンチ内での作業。けっこうドキドキです。

Template DNAを慎重にウェルに分注しています。
作業後、教室に戻りReal-time PCRの原理について先生から説明を受けます。初めての3年生にはなかなか難しいかも。みんな理解できたでしょうか?
最後に実際に測定中の機械をみながらReal-timeでDNAが増幅されていく様子を確認しました。結果やいかに!?

今回は嫌気性ロールチューブ法およびReal-time PCR法を用いて腸内でのClostridium 属、ColiformsおよびLactobacillus 属の増減を調べました。
それぞれ「どのような菌か?」また処理による影響があったなら「なぜそうなったか?」をしっかり考察しておいてください

今回の栄養生理学実験は以上です。
次回はいよいよ後半のまとめのプレゼンテーションです!これまでに得られた結果をまとめてしっかり考察を深めておいてください!
次回もお楽しみに!
(担当:内堀)

13回 後半プレゼンテーション

本年度の栄養生理学実験、後半後半では単胃動物の代表としてラットを用いて2つの群に分け、通常の飼料と、食物繊維含量が極端に低い飼料を与えてその違いを探ります。
これまでの実験で給与飼料の違いにより血中成分や腸内発酵パターンおよび腸内菌叢が変化することを確認してきました。

今回は後半のまとめとして、これまで行ってきた実験について班毎に考察し発表してもらいました。

発表直前の様子。栄養生理学実験では2度目のプレゼンですが、この時間帯は何度経験しても緊張します。
手にはなにやら準備してきた厚めの飼料が…
今回もじゃんけんで発表の順番を決定。
2 → 4 → 5 → 1 → 3 の順番で発表です。
2班の発表。
発表は全体的にコンパクトにまとまっていて分かりやすかったです。一部数字だけのスライドは図なんかを入れてくれるともっとGoodでした。
4班の発表。
処理区ごとの結果を一枚にまとめてくれたスライド。全体的に見せ方は上手で好印象でした。
5班の発表。
結果を見せるところでは複数の項目をリンクさせたり、スキームを作ったりしてわかり易く説明してくれました。内容的には良く調べてあったし、発表も聞くほうの興味を引く工夫をしたり上出来でした。
1班の発表。
今回の実験の意義を最初に説明してくれたスライド。内容をまとめるスキームをうまく使いながら進めてくれたので分かりやすかったです。やや冗長な面もあったのでもう少しコンパクトでも良かったです。
3班の発表。
全体的にシンプルに見やすく作ってくれていました。よく調べていましたがプレゼンテーションにおいては調べたことをいかに自分の言葉で述べるかも重要な要因なので今後意識してみてください。
発表終了後、小林先生より全体の総評をいただきました。 その後、TAによる採点の結果発表&表彰!!
3位の4班。
2位の1班。
そしてみごと1位に輝いたのは5班でした。

色々コメントもさせてもらいましたが、いずれの班もよく準備していて自分が3年生のときと比べるとビックリです。
その中でも5班の発表はプレゼンテーションの完成度として頭一つ抜け出した出来でした。
今後研究室に配属されるとプレゼンの機会もますます増えていくと思うのでさらに技術を磨いていってください。

発表会終了後は夕方からおなじみの「義経」にて打ち上げをおこないました。
みんなお疲れ様でした。

今回の栄養生理学実験は以上です。
今年から「家畜栄養生理学実験」と名前を変え全15回となった学生実験もようやく終わりを迎えました。
さまざま実験を通して3年生はそれぞれどんなことを感じたでしょうか?
10月にはいよいよ研究室分属を控えますがどの研究室にいってもこの実験の経験がいきれば幸いです。
来年もお楽しみに!
(担当:内堀)