ニュース

家畜栄養生理学実験 2011
2011年12月1日

名前を変えて全15回になったこの学生実験も今年で3度目です!
前半ではヒツジを、後半ではラットを用いて、動物が摂取した飼料がお腹の中でどう代謝されていくのかを考えます。
このページでは、慣れない実験に戸惑いながらも、がんばる初々しい3年生の模様をお伝えします。

第1回 ルーメン液のサンプリング、pH測定およびプロトゾア観察

前半のヒツジ(ルーメン)編では、粗飼料を多給した区と濃厚飼料を多給した区を設定し、それらの飼料がお腹の中でどのように分解・発酵されていくのかを見ていきます。
初回の実験では各ヒツジからルーメン液を採取し、pHを測定し、微生物の一種であるプロトゾアを観察しました。
サンプリングは継時変化を見るため、給餌前、給餌後1、2、3、4時間と5回に分けて行いました。

はじめに、小池先生から今回の実験の目的について説明があります。みんな真剣なまなざしですね。
サンプリングの重要性も理解出来たかな?
こちらは粗飼料多給グループの2頭です。
おいしそうに食べていますが、胃の中ではどのような変化が起こっているのでしょうか?
初めて嗅ぐルーメン液の匂いに困惑気味!?
生産実習でもカニューレから手を入れたことはなかったらしく、胃内の広さと温かさに驚いていました。
はじめにpHの測定です。
飼料の分解・発酵が進むと有機酸が産生されるので、pHは低下する傾向にあります。給餌前後、飼養条件間に変化はあったかな?
微生物の活性が落ちないように保温中!
奥にあるチューブは、お米とろ紙が入った培地です。
ここにルーメン液を接種して、1週間培養。
微生物の分解能を視覚的に確認します。
まだまだ慣れないのか、ピペット操作も慎重です。
学生実験が終わったころには立派に使いこなせるようにこれからも頑張って!
みんな真剣そのもの。
新鮮なルーメン液中にいるプロトゾアにはまだ活発に動き回っているものもいます。
粗飼料多給群と濃厚飼料多給区でも種類が違うので、違うサンプルを見てみるとまた新たに楽しめます。
TAも熱心に指導中です。
とは言え、動き回るプロトゾアを観察する機会はなかなかないので、TA自身も楽しんでいました(笑)
最後にルーメン液を濾紙入り培地と米入り培地に摂取してもらいました。
本当に分解・発酵は起こるのか・・。
来週が楽しみですね!

 

 

今後はサンプリングしたルーメン液を用いて様々な分析を行っていきます。
そして、最後にそれらのデータを用いたプレゼンテーションで締めくくります。
おもしろいデータが出て、上手に発表出来ると良いですね!
それでは、次回もお楽しみに!
(担当:澤田)

第2回 SCFA濃度とアンモニア態窒素濃度の測定

前半のヒツジ(ルーメン)編では、粗飼料を多給した区と濃厚飼料を多給した区を設定し、それらの飼料がお腹の中でどのように分解・発酵されていくのかを見ていきます。
3回目の実験では、採取したルーメン液の短鎖脂肪酸(SCFA)とアンモニア態窒素濃度を測定し、飼料中の炭水化物が宿主動物のエネルギー源に変換されることを理解し、微生物タンパク質の合成に必要なアンモニアが生成されていることを確認しました。

今日は家畜栄養学研究室の実験室で実験です。みんな今日もやる気です。
まずは、SCFA濃度の測定について小池先生による説明です。細かい作業を必要としますが頑張りましょう。
サンプルをガスクロマトグラフィーと呼ばれる機械に注入していきます。
上手く注入できるかな?
アンモニア態窒素の濃度を測定することでルーメン内でのタンパク質利用について考えます。今回もピペッティングが大事です。
ドラフト内の作業も集中して行っています。
最後にデータの整理です。しっかり計算方法も理解しましょう。

 

第3回 糖質分解酵素の活性測定

前半のヒツジ(ルーメン)編では、粗飼料を多給した区と濃厚飼料を多給した区を設定し、それらの飼料がお腹の中でどのように分解・発酵されていくのかを見ていきます。
2回目の実験では採取したルーメン液の糖質分解酵素の活性を測定し、ルーメン内で粗飼料および濃厚飼料が分解されることを実証しました。

小池先生により今回の実験の目的について説明が行われています。
しっかり説明を聞くことが実験の成功につながります。
実験開始です。
ピペットの操作に慣れることも学生実験の大切な要素の一つです。
試験管に試薬やサンプルを分注していきます。
入れる試薬を間違えないように気をつけましょう。
みんな集中しています。実験もきっと成功するでしょう!!
説明をするTAの仲田君(右)。みんな真剣に聞いています
加藤さん(左)の分かりやすい説明でみんなも理解を深められたと思います。
マイクロプレートリーダーについて梅村さんが指導中。
この機械で吸光度を測定し、酵素活性を算出します。
全班の結果をホワイトボードに記録します。実験は成功したでしょうか?

今回の栄養生理学実験は以上です。
次回はSCFA濃度とアンモニア態窒素濃度の測定です。
次回もお楽しみに!
(担当:近田)

第4回 VFA濃度の測定とプロトゾア計数

前半のヒツジ(ルーメン)編では、粗飼料を多給した区と濃厚飼料を多給した区を設定し、それらの飼料がお腹の中でどのように分解・発酵されていくのかを見ていきます。
4回目の実験では採取したルーメン液中のVFA濃度を測定し、飼料中の炭水化物が宿主動物のエネルギー源であるVFA (揮発性脂肪酸)に変換されていることを確認するとともに、給与飼料の違いがVFAの産生量及び組成に与える影響を明らかにしました。
あわせて、ルーメン内のプロトゾアを計数することで、給与飼料の違いが微生物数に与える影響についても考察を深めます。

小池先生から実験についての説明を受けたのち、早速測定にとりかかります。まずは、VFA測定で使用するガスクロマトグラフィーの原理などを説明し、デモンストレーションを見ている様子です。少し難しい部分もありましたが、みんな真剣に耳を傾けています。
それでは、実際に測定してみましょう。
初めて使うシリンジに皆悪戦苦闘していた模様です。
他の班員が測定している横でこの表情。
VFAの測定は任せろと言わんばかりですね。
後半のラット試験でも同様の実験を行うので、期待しています!
ここからは、プロトゾア計数です。
初回のサンプリング時に固定・染色しておいたものを観察します。
TAから計数方法について説明を受けている様子。
格子の付いたスライドグラスに固定・染色したサンプルを塗布し、プレパラートを作成します。
空気が入らないよう慎重に・・・。
実際に顕微鏡で見たプロトゾア。
ゴミや飼料片との区別は慣れるまでは大変だったと思います。
食い入るように顕微鏡をのぞきこむ図。
長時間観察していると疲れてきますよね・・・。
がんばれ!
飼料片との区別がつかないときにはTAに頼るのも手ですね。
最後はデータをまとめている様子。
実験で得られた数値をパソコンで解析・まとめます。
このデータを元に考察し、最後のプレゼン発表を行います。予想通りの結果になっていたでしょうか?

 

 

今回の栄養生理学実験は以上です。
次回はルーメン細菌からのDNA抽出およびPCRです。
次回もお楽しみに!
(担当:新居)

第5回 ルーメン細菌からのDNA抽出、PCR

前半のヒツジ(ルーメン)編では、粗飼料を多給した区と濃厚飼料を多給した区を設定し、それらの飼料がお腹の中でどのように分解・発酵されていくのかを見ていきます。
今回は、ヒツジの第一胃(ルーメン)で大事なはたらきをしているルーメン細菌の叢がどのように変化しているのかを探る第一ステップとしてルーメン内容物からのDNA抽出とPCRを行いました。

今回行う実験はピペッティングが命です!!TAの七條君(左)の指導にも熱が入ります。
まずはサンプルを混ぜていきます。加藤さん(右)の指導にも熱が入ります。
ヒートブロックで温めて・・・
PCRチューブに移してPCRを行います。バンドがしっかり出るかみんなで祈りましょう。

今回の栄養生理学実験は以上です。
次回はPCR産物を用いて、RFLPによるルーメン内細菌叢変化を見ていきます。
はたしてどんな結果になるのでしょうか?
それでは、次回もお楽しみに!
(担当:近田)

第6回 ラット体重測定・群分け、管理当番振り分け、試験意義の説明

ルーメンサンプルのDNA解析に進む前に6月から行われる後半実験の準備です。
実験後半では単胃動物の下部消化管(主に盲腸)をターゲットにしていきます。
この後半の一連の試験にはラットを用いるため、この回には体重測定と群分けを行いました。

こちらが試験に用いるラットです。昨年度は幼齢期のものを用いましたが、対照区も健康体でオリゴ糖給与による効果が顕著に表れなかったため、今年は老齢ラット(メス)を使ってみることになりました。
ラットには個体識別のため、しっぽの根元にビニールテープで標識します。
飼育かごにも個体番号と試験区を表記します。
体重にばらつきが出来ないように体重の平均値と標準偏差が近くなるように群分けします。
今年の試験も去年と同様にオリゴ糖製剤としてこの製品を用いました。もちろん、人間の服用も可能です。
飼養期間中は上の写真のような形態で、飼育かごで給餌、給水を行います。試験期間中は毎日の採食量と飲水量を記録していきます。

これから3週間、学生が実際に飼養管理を行いながら給与試験を行います。
果たしてオリゴ糖はラット盲腸内発酵に好ましい影響を与えるのでしょうか?
次回はルーメンサンプルの菌叢解析として、前回にPCR増幅してDNAサンプルを制限酵素消化にかけます。
代謝産物や酵素活性には違いが出ていたので、菌叢変化にも期待大です。
それでは次回もお楽しみに!
(担当:澤田)

第7回 PCR-RFLPによる菌叢解析

この回では、前々回にDNA抽出~PCRで増幅したPCR産物を制限酵素により消化し、バンドパターンの違いから菌叢変化を類推していきます。
飼養条件の違いにより、バンドパターンに明確な違いは見られるか。PCR同様DNAを扱うミクロな実験なので、コンタミが起こらないよう細心の注意を払いつつ行う必要があります。

実験が始まる前、みんなでプロトコルの予習です。
DNAを扱うとあって若干緊張気味?
ゲル作りはアガーをバッファーに溶かすところから始まります。溶解させるために電子レンジを使います。
酵素消化後に行う電気泳動用のゲルを調整しているところですね。
このようにコームを挿して放冷し、固まればゲルの完成です!
ゲルが完成するまでの待ち時間で、酵素消化を行います。ヒートブロックによるインキュベートの図です。
ゲルにアプライする姿は真剣そのもの。
突き刺さないように気を付けて!
電気泳動が終わるまで、しばし待ち時間です。
こちらが結果です。右側にある4本が制限酵素消化産物の電気泳動像ですが、残念ながらバンドパターンに違いは見られませんでした。

今回の実験では、残念ながら期待した結果は見られませんでした。
ただ、代謝産物など他のパラメーターで大きな違いが出ているので菌叢変化が起こっていることは確かです。
より詳細に調べていけば違いが見られたかもしれませんね!
次回はいよいよ前半戦の最終回プレゼンテーションです。
これまで、実験して得られた結果をまとめて人にわかりやすく説明する能力を付けるための良い訓練です。
それでは、次回もお楽しみに!
(担当:澤田)

第8回 プレゼンテーション(前半)

前半のヒツジ(ルーメン)編では、粗飼料を多給した区と濃厚飼料を多給した区を設定し、それらの飼料がお腹の中でどのように分解・発酵されていくのかを見ていきます。
これまでの実験で、給与飼料の違いによりルーメン内の発酵パターンが変化することを確認してきました。また、なぜ変化が起きているのか、ルーメン内微生物に着目して数・多様性・酵素活性を明らかにしてきました。
今回は、前半のまとめとしてこれまで行ってきた実験の結果・考察を班ごとに発表してもらいました。

プレゼンでは、私たちTAが採点させていただきました。採点の項目は、発表、スライド、質疑応答、チームワークです。
じゃんけんで発表の順番を決めました。
トップバッターは4班、つづいて5班、2班、1班、トリは3班です。
まず、4班の発表。
原稿を読み上げるのではなく、聴衆を見ながら説明していました。皆しゃべりがとても上手です。
導入のところでは、アニメーション付きの図を使い、聞き手に優しい説明でした。
考察に時間をかけて臨んだことも伝わってきました。
つづいて5班。
発表の最後には濃厚飼料の利点・欠点について言及しており、実験の意義をよくとらえた発表でした。
グラフの説明ではアニメーションを上手に用い、図のどこを見てほしいかが一目でわかる工夫がなされていました。
お次は2班。掴みがばっちりでしたね。
「ルーメンの複雑さを感じてほしい」というメッセージ性のある発表でした。
結果のスライドでは図だけでなく言葉の補足が入っており、要点が伝わりやすかったと思います。
華の1班です。
たくさん質問をもらっていました。内容に興味を持ってもらえた証拠ですね。
予想→結果→考察、といった流れを統一しており、非常に効きやすかったです。
最後は、3班。
ルーメンの働きの主役である各菌の働きや、菌叢の違いについて詳しく言及していました。
濃厚飼料、粗飼料の文字を色分けするなど、細やかな工夫が、聞き手の理解を助けていたと思います。
同級生からも活発な質問がありました。
さて、恒例の順位発表!!もちろん景品もあります。 3位→4班 2位→2班 でした。おめでとう!

そして堂々の1位は、1班です!!
チームワークの感じられる発表、素晴らしかったです。
小林先生、小池先生から各班にコメントがありました。良かった点、反省点に気づけたと思うので、次回の発表に期待です。
発表、おつかれさまでした!

 

 

前半の栄養生理学実験は以上です。
次回からはオリゴ糖がラット(単胃動物)に与える影響を見ていきます。
次回もお楽しみに!
(担当:宮澤)

第9回 諸器官計測、サンプル採取

前半の最初と同じく、後半もまずはサンプルの採取から始まります。
今回は、三週間オリゴ糖を給与したラットから、血液と盲腸内容物を採取します。
さらに、腑分けも行い、各臓器・組織重量、消化管内容物重を測定し、オリゴ糖の給与による影響を検証します。

三週間飼育したラットです。
これから麻酔をした後、サンプルの採取を行います。
慣れない作業ばかりですが、協力してこなせたでしょうか?TAの力も借りつつ実験は進んでいきます。
盲腸内容物を採取しているところです。
採取した盲腸内容物。
これに加え、血液も採取しています。
今後の実験では内容物と血液を分析していきます。
実際に臭いを嗅いでみるのも大事なことです。
オリゴ糖を給与した群とそうでない群で臭いは違ったのでしょうか・・・。
データ整理に明け暮れているのでしょうか。
ここでミスがあると今日の実験が台無しになってしまうこともあります。
この様子だと心配なさそうですね。

血液採取や腑分けなど、慣れない作業ばかりでしたが、いかがだったでしょうか?
動物を使った実験というのを改めて理解するきっかけになったのではないでしょうか。
今後は採取したサンプルを分析し、オリゴ糖の効果を検証していきます。
次回以降の結果に期待しましょう。
それでは、次回もお楽しみに!
(担当:新居)

第10回 血中コレステロール、グルコースの定量および盲腸内pHの測定

後半戦第2回!今回は、ラットから採血→遠心分離して得られた血清を元に血中グルコースおよびコレステロールの濃度を測定します。
測定原理の詳細は長くなるので控えますが、それぞれの存在量を専用のキットを用いて調べます。
実際の操作は前半戦のアンモニア態窒素濃度測定などと同様にプレートリーダーを使った比色定量です。
キットを使っているので作業工程は非常に簡便化されていますが、扱う試薬の容量が少ないのでピペッティング操作に慣れない3年生は毎年苦戦します。

実験が始まる前、原理の説明の際の風景です。
ちなみに今年の班分けはあみだくじで行ったらしいのですが、なかなか男女バランス良く分かれています。
皆さん真剣ですね。
今年は比較的まじめな学生が多いような印象を受けます。
実験は市販のキットとプレートリーダーを用いて行いました。こちらが、コレステロール濃度測定の方。濃度が濃いほど青の色が濃くなります。
一方、こちらはグルコース。
こちらは濃度が濃いほど赤の色が濃くなります。
結果がこちらです。一番下のAverageが平均を表しています。一見、差が開いているようにも見えますが、個体差も大きく有意差は見られませんでした。
今回の実験では、検量線の大事さを実感してもらうために検量線選手権も開かれました。近似直線のR2値が1.0に近いほど希釈やアプライの操作が正確だと言えます。この操作がうまくいかないと、算出した濃度の信頼性が低くなるので、非常に大切です。
この2つの数字は、それぞれの試験で優勝した班のR2値です。お見事でした!

今回は作業に追われてしまって、学生の作業中の写真が少なくなってしまいましたね・・。
例年通り、1μℓや0.75μℓという試薬のアプライ量に苦戦していた班も多かったですが、検量線選手権で優勝した班などは見事な器具の扱いでした!
結果として血中コレステロール、グルコース濃度には違いは出ていないようでしたが、今回測定したもう1つの測定項目である盲腸内容物のpHには変化が出ていました。
(申し訳ないですが、写真はありません。。)
オリゴ糖給与区の方でpHの低下が見られたので今後のVFA、乳酸濃度測定や菌数の定量などにも期待が持てますね!
次回は盲腸内の代謝産物濃度としてアンモニア態窒素および乳酸濃度を測定します。
今回同様、比色定量による測定なので今回検量線がうまく引けなかった班も次回のリベンジに期待します。

それでは、次回もお楽しみに!

第11回 アンモニア態窒素および乳酸濃度測定

今回は、三週間オリゴ糖を給与したラットの盲腸内容物より、アンモニア態窒素と乳酸の濃度を測定しました。オリゴ糖給与が腸内フローラに影響を与えているか、その代謝産物を見ることで間接的に推測します。

まずは、アンモニア態窒素濃度の測定。マイクロチューブに試薬を今後していきます。1μといった微量な試薬の混合は慎重にね。
後半になると、班のチームワークも発揮されてきました。
アンモニア態窒素濃度の測定にはフェノール試薬を用いるので、ここからの作業はドラフト内で行います。
しばし休憩。今回は乳酸の測定も行うため、長丁場になります。集中力を切らさずがんばって!
つづいて乳酸定量。マイクロプレートに分注していきます。
最後はデータ整理。各濃度を盲腸内容物(g)あたりに換算します。単位の計算に苦戦です。
次回はSCFA濃度の測定です。先生より、腸内フローラと代謝産物のフローチャートを用い、オリゴ糖のはたらきについての説明がありました。
さて今回の検量線レースでは、2班さんがなんと3冠達成でした。おめでとう!

試薬分注の多い実験、おつかれさまでした。
目に見えない微生物のはたらきを、アンモニア態窒素や乳酸といった代謝産物を通して実感していただけたでしょうか。
次回は、ロールチューブ法による腸内菌の培養計数およびVFA濃度測定です。
それでは、次回もお楽しみに!
(担当:宮澤)

第12回 嫌気性ロールチューブ法による腸内細菌の培養計数およびラット盲腸内SCFA濃度測定

オリゴ糖が単胃動物の健康および影響に及ぼす影響を探る旅その4!
今回は、ラットの盲腸内容より総嫌気性細菌、ClostridiaおよびColiformの培養計数準備としてロールチューブを作成しました。
また、発酵パターンのちがいを見るため短鎖脂肪酸(SCFA)濃度の測定も行いました。

ロールチューブの説明を小林先生から受ける3年生。
盲腸内にいるような嫌気性細菌は好気性細菌とは異なり、その培養にはひと手間も二手間もかかります。
ロールチューブを作らせたら右に出るものなし、M1加藤先生による操作説明の様子。みんな真剣に聞き入っています。
少し見にくいのですが、3種類の選択性が異なる培地を用います。
まずはイノキュラムを培地に接種して・・・
氷水上にそっと置きます。すると寒天入り培地が急速に冷却され表面に薄く固まっていきます。上手くできたかな?
加藤先生の熱い指導は続きます。
前半でも扱ったガスクロを用いてSCFA濃度の測定も行いました。2回目ともなればもう慣れっこ?
まじめに慎重に実験をやることは大切ですが、楽しみながらやることもまた大事だと思います。いい笑顔でございます。
ガスクロの分析結果をExcelでまとめています。果たしてどんな結果になったのでしょうか・・・?

今回の栄養生理学実験の様子は以上です。
SCFA濃度のちがいからオリゴ糖給与にどんな効果があるのか、少しわかってきたのではないでしょうか?
次回はロールチューブに出現したコロニーの計数と「培養を必要としない」定量法であるreal-time PCRで腸内細菌の変化を追ってもらいます。
それでは、次回もお楽しみに!
(担当:うめむら)

第13回 real-time PCR法およびロールチューブ法による腸内嫌気性細菌の定量

オリゴ糖が単胃動物の健康および影響に及ぼす影響を探る旅その5!
いよいよ本実験も大詰めとなりました。
今回は、前回作成したロールチューブに出現したコロニーを数える培養計数とreal-time PCRによる非培養定量法で腸内細菌の変化をみていきます。
オリゴ糖給与により腸内細菌叢はどのうように変化したのでしょうか?

前回作成したロールチューブに現れたコロニーを計数します。ちょっぴり数が多いけれど班で協力すればへっちゃら!?
真剣にコロニーを数えています。こうった単純作業は集中力が大事です。
と、数え終わったのか会心の笑み。いいですね。
中にはゴミなのかコロニーなのか見分けのつきにくいものもあります。そんなときはTAに聞いてみましょう!
ところ変わってreal-time PCRの準備光景。本実験では初登場となるクリーンベンチ。使う前にはしっかりアルコール殺菌します。
アプライする場所を間違えないよう慎重に慎重に・・・
はじめて見る装置の連続に3年生も興味津々です。
新居TAによるreal-time PCR特論。普段からよく使っているだけあった説明もしっかり丁寧、わかりやすかったです。

今回の栄養生理学実験の様子は以上です。
ロールチューブのコロニー計数という作業自体は単純なものですが、盲腸内容物を使ってコロニーが形成されている状態を観察できたことで腸内細菌のはたらきを知ることの有用性を再確認できたのではないでしょうか?
またreal-time PCRという先端技術を使った定量もよい経験になりましたね。
次回はとうとう後半の最後。そして栄養生理学実験の最終回です!後半の実験のまとめとしてプレゼンを行ってもらいます。
それでは、次回もお楽しみに!
(担当:うめむら)

第14回 プレゼンテーション(後半)

オリゴ糖が単胃動物の健康および影響に及ぼす影響を探る旅を終えてまとめのプレゼンです!
3年生はどんな発表をしてくれるのでしょうか?

トップバッターの1班。
自分たちの予想→結果と考察という流れは前回同様よかったですが、結果を表のままではなくグラフや図にするなどするともっと視覚的に分かりやすくなります。
4班の登場。
全体のストーリー立てやこういったスキーム図を挟むなど分かりやすかったです。前回に比べとっても成長していたと感じました。
つづいて5班。
実験目的と期待することをはじめに見せてくれたので、聞き手もどこに注目して結果を見ればいいのかわかりやすかったと思います。
お次は3班。
全体的によく調べてあって感心しました。ただ、少し文字が多すぎたりするところがあったので、伝えたいところに焦点をしぼって話せばもっとよくなると思います。
最後は2班です。
発表も聞きやすく、スライドもすっきりしていてよかったです。全体で一貫したメッセージがあったことも分かりやすさを後押ししていました。
学生からも活発に質問がありました。
そしてそして、1位に輝いた2班。
上位の班には景品が贈呈されました。

今回の栄養生理学実験の様子は以上です。

1か月にわたる実験の内容を分かりやすくまとめて、かつ人に伝えるという作業は難しかったと思いますがこの経験はこの先必ず生きてくるはずです。
それはどの研究室に配属されても同じことです。社会に出てからもこういったプレゼン力というのは必要です。
ここで得た経験を忘れずにがんばっていってください!
全14回におよぶ実験、発表お疲れ様でした!
(担当:うめむら)